- トップページ
- 概要/組織図
- 先導的研究人材育成部門
- 卓越研究員
卓越研究員
山口 知也 准教授2016~大学院先導機構 (併任:大学院生命科学研究部(医)) | 中村 照也 准教授2016~大学院先導機構 (併任:大学院薬学教育部・薬学部) | 中島 陽一 助教2016~大学院先導機構 (併任:大学院自然科学研究科・理学部) |
谷本 祥 准教授2017~大学院先導機構 (併任:大学院自然科学研究科・理学部) | 圓谷 貴夫 助教2017~大学院先導機構 (併任:先進マグネシウム国際研究センター) | 三浦 恭子 准教授2017~大学院先導機構 (併任:大学院生命科学研究部(医)) |
山口 知也 准教授 やまぐち ともや
2016~ 熊本大学 大学院先導機構 / 大学院生命科学研究部(医) 研究分野:腫瘍生物学、細胞生物学 web 2007 名古屋大学大学院医学系研究科 修了(医学博士) 2007 名古屋大学大学院医学系研究科 助教 2015 名古屋大学大学院医学系研究科 特任助教 2016 名古屋大学大学院医学系研究科 特任講師 |
これまでに私たちは、TTF-1リネジ生存癌遺伝子に転写活性化される受容体型チロシンキナーゼであるROR1が、キナーゼ活性依存的および、非依存的な分子機序によって、EGFRやMET、IGF-IRなどの多様な受容体が伝達する肺腺がんの生存シグナルを維持することを明らかにしてきました。
現在、私たちは、肺がんを中心に、膵臓がんや大腸がんなどの難治がんにおける、更なるROR1分子の一層の機能解明と、がんの発生・進展プロセスに関わる新たな分子病因の探索・同定および、制御機構の解明を行うとともに、ROR1分子を基軸とした膜・小胞による細胞内輸送ネットワークを介する内因性微粒子の制御機構や、カベオラ制御に基づく癌細胞の生体膜ダイナミクスの分子機構の解明など、生化学的・細胞生物学的解析に加え、マウスモデルや臨床情報を用いて研究を行っています。また、イレッサなどの分子標的薬による詳細な薬剤耐性獲得の分子メカニズムの解明や、これまでに私たちが見出したROR1分子やその生理機能に対する低分子化合物や抗体、ペプチド、核酸等を利用した肺腺がんや薬剤耐性がんに対する治療薬の開発を、様々な共同研究を通じて、精力的に進めています。
中村 照也 准教授 なかむら てるや
2016~ 熊本大学 大学院先導機構 / 薬学部・大学院薬学教育部 研究分野:構造生物学 web 2001 大阪大学薬学部薬学科卒業 2006 熊本大学大学院薬学教育部博士後期課程 2011 米国国立衛生研究所,国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所, Dr. Wei Yang研究室 客員研究員 |
構造生物学は,生体内で働くタンパク質などの生体高分子の立体構造を明らかにし,生物機能の仕組みを原子レベルで解明する学問です.私は,ゲノム安定性の維持に関わるタンパク質に着目し,X線や中性子を用いた構造生物学的手法により,これらタンパク質がDNAやその前駆体にどのように作用することで遺伝情報を維持しているかを原子レベルで明らかにすることを目的に研究を行っています.他にも,細胞の情報伝達に関わるタンパク質の構造生物学的研究も行っています.
中島 陽一 助教 なかじま よういち
2016~ 熊本大学 大学院先導機構 / 大学院自然科学研究科・理学部 研究分野:高圧物性、地球科学 2009 東京工業大学大学院 地球惑星科学専攻修了 博士(理学) 2009 Universität Bayreuth, Bayerisches Geoinstitut・特別研究員 2013 理化学研究所放射光科学研究センター・特別研究員 |
高圧高温下で物質は, 地表大気圧下では見ることのできない特異な挙動を示す。私の研究室ではダイヤモンドアンビルセル高圧発生装置やマルチアンビルプレス高圧装置を用いて高圧高温を発生させ、そのような極限環境下において物質の構造や物性,さらに物質中の原子のダイナミクスがどのような変化を見せるのかを実験的に探求している。測定には大型放射光施設の高輝度X線を駆使し、X線回折法やX非弾性散乱法などにより、物質の結晶構造や物質中の原子のダイナミクスを高圧下でその場観察する測定手法を主に用いている。
高圧高温環境下で合成される物質は特異な物性を持つことが多く、新規機能性材料の創製に繋がる可能性を秘めている。また、超高圧極限環境は実際に惑星内部に存在している。地球中心にある鉄を主成分とする金属コアは, 135万気圧以上, 4000K以上の極限環境下にあり、その大部分が液体である。例えば, 私の研究室では高圧下での液体鉄合金中の音響フォノン測定からP波速度を求め, コア中の地震波伝搬速度と比較することでコアの成分やダイナミクスを解明する研究も行っている。
谷本 祥 准教授 たにもと しょう
2017~ 熊本大学 大学院先導機構 / 大学院自然科学研究科・理学部 研究分野:代数幾何、数論幾何 web 2007 東京工業大学数学科 理学 2012 New York University Ph.D. 2012 Department of Mathematics Rice University, G.C. Evans Instructor 2015 Department of Mathematical Sciences, University of Copenhagen, PostDoc |
高次元代数幾何を用いた数論幾何の研究
フェルマーの最終定理に代表されるように、代数方程式を満たす有理数解に関する問題はギリシャの頃より研究されてきました。僕の研究はこういった古典的な数論幾何の問題を現代の高次元幾何学を用いて解き明かすというのがテーマです。特に今までは高さ(有理数解のサイズを測る量)がT以下の有理数解の数え上げ関数の漸近公式を予想するマニン予想の幾何的側面を研究してきました。これからも数学の新たな可能性の発見に向けて研究に励みたいです。
圓谷 貴夫 助教 つむらや たかお
2017~ 熊本大学 大学院先導機構 / 先進マグネシウム国際研究センター 研究分野:物性物理学、計算材料科学 web 2009 広島大学 大学院先端物質科学研究科量子物質科学専攻修了 博士(理学) 2009 ノースウェスタン大学(米国)物理学科 A. Freeman研究室 博士研究員 2011 理化学研究所(埼玉県和光市)加藤分子物性研究室 特別研究員 2015 物質・材料研究機構(茨城県つくば市)若手国際研究センター研究員 |
第一原理計算手法に基づき、物質・材料(固体)系で発現する物性と機能を理論的に予測する研究を行っています。その研究過程では、実験家との議論を常に心がけ、物質開発に従事する者にとって有益な知見を得ることを強く意識しています。熊本大学ではKUMADAIマグネシウム合金が示す長周期積層秩序(LPSO: Long Period Stacking Ordered)構造の形成メカニズムを電子論的な立場から明らかにすることを目標に研究を進めています。
実用材料の研究の面白さであり、難しさは、材料の強度というものが、ミクロな電子の挙動や原子間結合に起因し、メソスケールにおける内部組織や欠陥挙動によって支配されるマルチスケール現象であることです。しかし、マルチスケール計算の大きな問題点は、スケールの異なる計算手法間につながりがほとんど存在しないことです。本研究では、スケールが異なる計算手法間をつなぐ手法を開発し、原子・分子の電子の振る舞いといった量子力学レベルからマクロな機械的性質の予測までを網羅するようなマルチスケール計算材料設計を実現したいと考えています。
三浦 恭子 准教授 みうら きょうこ
2017~ 熊本大学 大学院先導機構 / 大学院生命科学研究部(医) 研究分野:老化生物学 web 2010 京都大学大学院医学研究科 博士課程修了(医学博士) 2012 科学技術振興機構 さきがけ専任研究者 2013 慶應義塾大学医学部生理学 特任講師(非常勤) 2016 北海道大学遺伝子病制御研究所 動物機能医科学研究室 准教授 |
長寿齧歯類ハダカデバネズミの老化耐性・がん化耐性・真社会性に関する分子生物学的研究
アフリカの地下に生息する齧歯類ハダカデバネズミ(Naked mole-rat, Heterocephalus glaber)は、マウスと同等の大きさながら約30年の長寿命を持ち、老化耐性・がん化耐性の特徴をもつことが知られている。本研究室は、日本で唯一のハダカデバネズミの飼育・研究拠点であり、ハダカデバネズミ特異的な老化耐性・がん化耐性の制御機構および関与遺伝子の解明を目的として、研究を進めている。近年、ハダカデバネズミiPS細胞を世界で初めて樹立し、動物種特異的な腫瘍化耐性をもつこと、またその分子メカニズムを明らかにした(Nature Commun. 2016)。現在は、細胞老化や代謝制御など様々な観点から、細胞レベル・個体レベルでの研究を精力的に展開している。今後、ハダカデバネズミの老化耐性・がん化耐性の制御因子を解明してマウスに導入することで、これらの耐性機構をマウスで再現することを目指す。将来的には、新規の観点からのヒトにおける老化・がん化予防薬の開発が期待される。また、ハダカデバネズミはアリやハチに類似した真社会性と呼ばれる社会性をもつ極めて珍しい齧歯類であり、分業制の集団生活を営む。その制御機構に関しても興味を持ち、研究を進めている。